大人の女に手を出さないで下さい
「ねえ、ツクヨミさん。みんながおかしいのよ、なんで?」

梨香子は休憩時間にツクヨミさんを捕まえランチに誘った。
テーブルに突っ伏すように項垂れる梨香子にツクヨミさんは呆れ顔で笑っている。

「みんな見守っているだけだ。有り難いじゃないか」

そう言われて思い出すのはいきなり呼び止められて頑張ってと言われた言葉。

「私は何を頑張らないといけないの?」

「梨香子はそろそろ決断する時だ」

「決断って…」

何もかも御見通しのツクヨミさんに梨香子はプックリと頬を膨らます。
なんとなく言われた選択肢はわかった気がする。
何を選ぶかでは無く誰を選ぶか。
ツクヨミさんの占いは当たるからたかが占いだなんて侮れない。
でも、自分の選択が間違ってたらと思うと怖いじゃないか。

「一つだけ教えてあげよう。絶対に選んではいけない選択を」

「えっ?」

ここに来て今まで教えてくれなかった選択肢の一つを教えてくれるなんてどうしたことか。しかも選ぶと不幸になると言われた選択に思わずゴクリと生唾を飲んだ。

「それは…」

「あっ待って!」

ツクヨミさんが言おうとしたところを梨香子は手の平を出しストップをかけた。

「いい、言わなくて。もう私の心は決まってる。どんな運命になろうと自分で選んだんだから受けれる」

怖いけど、今まで自分で考え決めてきた。
幸でも不幸でも自分で選んだ人生、どちらになろうと後悔はしないと心に誓う。

「ふふっいい目だ。やっとリカらしくなった」

「え?どういうこと?」

「今まで迷いに迷って悩みすぎたせいで目の色が濁っていた」

「うそっ…」

「それがやっと意志のある力強い目に戻ってきた。今のリカが一番輝いている。自信を持つといい」

「そ…そうかな…」

静かに笑うツクヨミさんと目が合い梨香子は照れ笑いを浮かべる。
自分の心に素直に従えば全て上手くいくからとツクヨミさんに言われ梨香子は心が軽くなった。
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