大人の女に手を出さないで下さい
「いや、ホント怖いのよ、蒼士くんとそう言うことになって何も感じなかったらどうしようって…」

「ほんと馬鹿!ほんっと馬鹿!そんなのヤッてみないと分かんないじゃない!」

「う…うう~…」

梨香子はとうとう顔を覆い唸り出す。
こんなこと話したくはなかったけども梨香子自身も恐怖だけが心に巣食ってどうしても蒼士の誘いに乗ることが出来なかった。
どうしたらいいかもうわかんない!と嘆く梨香子にトミちゃんもツクヨミさんも哀れに思う。
いい大人の女が情けないったらありゃしない。

「とにかく一度抱かれてみなさい!愛する人と一つになりたくないの?絶対リカちゃんの不安なんて吹っ飛ぶくらい気持ちいいから!」

「そういう恥ずかしいこと言わないでって…」

「リカちゃん、今度蒼士くんの誘いを断ったら絶交だかんね!」

ズイっと顔を近づけドスの利いた脅しに梨香子もカクカクと頷くことが出来ない。
それを見たトミちゃんはふん!と鼻息荒くビールを一気飲みした。

帰る時、やっとトミちゃんから解放されホッとした梨香子はツクヨミさんにこそっと話した。

「ねえ、ツクヨミさん。今度占って欲しいことがあるんだけど…」

「子供の事か?」

「!…やっぱり何でも御見通しだね」

ビックリした梨香子はははっと苦笑いを溢す。

「はっきり言うのはやめておく。でも、これだけは言える。流れに任せて自然体でいればいい。例え子供が出来ても出来なくてもリカはソウシとずっと幸せに暮らしていける」

「…ありがとうツクヨミさん。なんか、心が軽くなった」

胸が詰まったように息を詰め、そして吐き出すと梨香子は安心したように笑った。

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