大人の女に手を出さないで下さい
・・・・

「……うん、妊娠はしてませんね。お嬢さんはまだ若いからちょっとしたことで生理不順になるので心配いりません。じきに生理も来るでしょう。それと性病検査も問題ありません。良かったですね」

にこりと笑う年配の女医さんに英梨紗と二人で聞いた梨香子はホッと胸を撫で下ろす。

「でも、英梨紗さんはまだ高校生よね?いまどき高校生で性交渉するのは珍しくないけど思わぬ病気や妊娠で辛い思いをする子も少なくないから自分の行動には責任を持って慎重にね。相手の男の子にもお説教したいところだけど」

「はい、気を付けます…」

しゅんと肩を落とす英梨紗の肩を抱き二人は診察室を出た。
ありがとうございました、と出てきた二人に気付くと待ってた蒼士は駆け寄った。

「梨香子さん、どうだった…?」

「大丈夫、妊娠はしていないって」

「…ああ、そうか、よかった」

「ありがとう蒼士くん、蒼士くんが居てくれて良かった」

余りに動揺しすぎてパニックになった梨香子は蒼士のお蔭で冷静になれた。
蒼士が居てくれなかったら英梨紗を責め続け傷つけてたに違いないと思うと背筋が凍る。
こんな時、梨香子一人だと何もできないのだと自分の無力さに失望した。
そんな様子の梨香子に気付いて蒼士は梨香子の肩に触れた。

「大丈夫だよ梨香子さん。こんな時の為に俺がいるんだ。大変な時に二人の側に居られて俺は嬉しいよ」

優しく笑う蒼士に梨香子も安心したように笑った。
ほんとに頼れる男だ。蒼士がいてよかった。

「大丈夫のようだな蒼士」

「ああ、時間外にすまなかったな」

ホッと胸を撫で下ろす蒼士の肩を白衣を着た医師が叩いた。
気安く名前を呼んでるということは蒼士の友人なのだろう
梨香子は英梨紗の肩を抱いたままその友人に頭を下げた。

「お騒がせして申し訳ありませんでした」

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