大人の女に手を出さないで下さい


ここはプティビル

1階が商業フロア、2階が飲食店と小規模な商業施設。商業フロアには8店舗のテナントが入っている。
その商業フロアの一角でナチュラル系雑貨店を営む国永梨香子はパーマかかったミディアムショートにリネンの白シャツに黒のワイドパンツが良く似合う40代らしい落ち着きのある大人の女性。45歳独身バツイチ子持ち。

開業して10年になるここ”elissa(エリッサ)”は梨香子の城。
好きな雑貨に囲まれ自由に営業展開でき有意義な毎日を送っている。
今は、別れと出会いの多い3月。
お別れの挨拶に使うプチギフトやお世話になった方へのプレゼントがよく売れる季節。
毎日ラッピングに大忙しだ。

「ありがとうございました〜」

丁寧にラッピングをして可愛いと喜び嬉しそうに帰っていくお客様をお見送りしこちらもほっこり嬉しくなる。

「ハルちゃん、休憩行ってくるね、後よろしく」

「はーい、行ってらっしゃい」

バイトのハルちゃん(24歳)に後を頼みお昼休憩に入る。

「リカちゃんお昼?あたしも行く~」

隣のアパレル店の店主、トミちゃんが梨香子を見つけて擦り寄ってきた。
可愛らしい言葉遣いだけども、彼はムキムキマッチョのれっきとした男性。
ショップはレディースを主に扱ってるため女性客が多く、見た目と言葉遣いのギャップから初めて見た人はかなり驚くけども物腰柔らかでコーディネートのアドバイスは的確とあってかなり人気が高い。
因みに恋愛対象はどっちもOKという。
梨香子には理解できない世界だけども彼の事は友人として好きだ。
二人で仲良く腕を組んで昼食をとるため2階のカフェに向かう。

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