大人の女に手を出さないで下さい
自分はこんなに好きなのに相手は全く振り向いてくれない。
片想いというものがこんなに辛いものだとは思わなかった。
愕然とぎゅうぎゅう悲鳴を上げる胸元をかきむしるように握った蒼士の手は震えていた。

「まあまあ、そう落ち込まさんな。リカちゃんはこの歳で自分が恋愛なんて出来るわけないって思いこんでんのよ。蒼士くんよりだいぶ年上だってのも引っかかってるわね。だから自分の心を閉ざしてんの。」

「恋愛するのに歳なんて関係ない。年齢差だって気にすることじゃないのに…」

呟く蒼士の言葉にトミちゃんはにやりと口元に弧を描く。

「そう、歳なんて関係ないのよ。人は幾つになっても恋しい相手が欲しいもの。リカちゃんは子育てと店の経営でそう言う心を忘れてしまったのよ。だから、そんなリカちゃんの心をこの際こじ開けちゃいましょう!」

さ!行くわよ!と項垂れてる蒼士の腕を取ってずんずん歩き出した。
引っ張られる蒼士は困惑気味だ。

「え?どこへ?」

「そこの公園にリカちゃんとエリちゃん待たせてんのよ。着いたらあたしとエリちゃんは消えてあげるから、蒼士くんはっきりとリカちゃんに好きだって告白するのよ!」

「えっ!?」

蒼士は考えた。
告白なんてしたことあっただろうか?
いつもは相手から告白されて付き合うことの方が多かった。
自分から告白したとしても相手も好意を抱いていると確信があっての事だ、まったく興味も持たれない状態で告白なんてしたことない。
これ、玉砕必至なんじゃないだろうか…?

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