大人の女に手を出さないで下さい
「どうしたんですか?」

丁度スタッフ入り口から入ってきた蒼士はトミちゃんの悲鳴を聞いて何事かと近付いて行く。トミちゃんにガシッと腕を掴まれあれあれ!と指を差す方を見た。
その先には窓にぶつかりブーブー不気味な音を立てるスズメバチに頓着なく近づく梨香子がいて驚いた。
蜂に刺されると大変だ!と蒼士は梨香子を追って行こうとするもトミちゃんにがっちり押さえこまれ動けない。
その間に梨香子はそっと帽子をスズメバチに被せあっという間に捕まえてしまった。

「きゃあ〜!リカちゃん早く潰しちゃって!」

帽子の中でブーブーいう蜂にケンくんもおっかなびっくり立ち上がり見守ってると、トミちゃんが叫ぶものだから僕の帽子を犠牲にするつもりですかとギョッとする。

「やだ、そんな可哀そうなことできない」

梨香子は冷静に自動ドアから出ると紫色に染まっていく空に向け帽子を広げた。
ブウン…とスズメバチは一目散に空へと飛んで行く。
その様子をしばらく見て戻ってきた梨香子はぽかんとしてるケンくんに帽子を返した。

「帽子ありがと。ケンくん、男の子なんだから蜂くらいで情けない声出さないの。可愛い彼女に呆れられるわよ?」

「いやあ、僕蜂に刺されたことあって怖いんですよね」

恥ずかしそうに頭を掻くケンくんに梨香子はしょうがないなと笑った。
ケンくんは彼女持ちなのかとなぜかホッとしてる蒼士の腕に絡まってたトミちゃんも蜂がいなくなってホッとして腕が緩んだので蒼士はやっと解放された。

「梨香子さん」

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