大人の女に手を出さないで下さい
「今日は英梨紗ちゃんは?」

「英梨紗も今日はデートだからいないわ」

店を閉め蒼士の愛車に乗り込んだ蒼士と梨香子。
久しぶりの二人きりのデートに蒼士は喜びながらも英梨紗はどうするのか聞いてみたが彼女もデートとは意外だった。

「デート?そう言えば好きな人がいるって?その彼と?」

「いいえ、父親とよ」

「ああ…お父さん…」

梨香子と離婚した元夫とはここ5年ほど会ってないそうだが、英梨紗は定期的に会ってるらしい。
梨香子をちらりと見れば寂しそうな瞳で外を眺めている。

「梨香子さんは…離婚したことを後悔している?」

「え?まさか。何でそんなこと聞くの?」

驚いた梨香子が蒼士を見ると蒼士は気まずそうに前の道路を見つめる。
もしかして、梨香子は未だに元夫を愛してるから蒼士の好意も断り続けてるのかという疑念が浮かぶがさすがにそこまで聞けない。

「いや、何となくさびしそうに見えたから」

「別に寂しくなんてないわよ。辛かったこともあったけど別れて正解と思ってるわ」

そう言って梨香子は憮然とした顔でドアに頬杖を着き顔を背けてしまった。
怒らせてしまったかと蒼士は気まずくなり車から降りるまで沈黙が続いた。

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