大人の女に手を出さないで下さい
英梨紗と梨香子が楽しそうに話してる中、蒼士一人無言のまま車を走らせ、梨香子たちのマンション前に到着した。

「蒼士くんありがと~」

「あ、英梨紗ちゃん、ちょっと待って」

英梨紗は機嫌よく車から降りようとしたところを引きとめ、思わせぶりに梨香子に目をやった。

「ごめん、少し梨香子さんをかりていいかな?話がしたいんだ」

「あ…うん、いいよ」

「ここで話してるから、何かあったら来て」

「うんわかった、じゃあママ先に帰ってるね」

「英梨紗…」

さすがに思いつめてるような蒼士の顔に英梨紗も梨香子も気が付いた。
英梨紗は一度振り返り手を振るとマンションの中に帰って行った。

「梨香子さん、隣に来ないか?」

「……」

梨香子はひとつため息を着いて無言で車から降り助手席に乗り込む。

「話って何?」

「…速水さんの事、元旦那さんだったなんて驚いた」

「私も驚いたわ。5年ぶりにあんなところで会うとは思わなかったし、まさか蒼士くんの会社の顧問弁護士になったなんて…」

「聞いてもいいかな?速水さんとどうして別れたのか」

「そんなこと聞いてどうするの?蒼士くんには関係ないでしょ?」

「関係あるよ、俺は梨香子さんの全てが知りたいんだ。好きな人の事知りたいと思うのは自然なことだろ?」

素っ気なく返せば熱く訴えてくる蒼士に梨香子は目を丸くする。
真剣な表情に梨香子は諦めたように息を吐いた。

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