女40歳、お嫁にもらってもらいます!
どうして今更そんな事を聞くんだろう…。

大野くんは私の肩を優しく抱いた。

大野くんの手が触れる部分が熱い。

「もしOKなら、今度こそ名前を呼んでもらえますか?」

大野くんの手が、そっとは私の髪に触れる。

私は静かに頭を振った。

「…郁美?」

「…今日は帰るわ。」

大野くんの表情が険しくなる。

「そんなに嫌ですか?部下の下の名前を呼ぶ事が…。いや、それとも俺を恋人として認める事が許せないですか?」

「違うわ、大野くん。」

私は大野くんの意外な言葉に驚いてしまった。

「急に自分が冷静な状態に戻れたの。…正直、まだ自分の気持ちが分からない。」

私はゆっくりと大野くんから視線を外した後、立ち上がった。

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