女40歳、お嫁にもらってもらいます!
大野くんを見下ろす位置から、私は言葉を投げかける。

「主任との約束を守りましょう。」

いつもの私を取り戻した瞬間だった。

「私はあなたの勢いに負けてしまっているだけなのかもしれない。」

さっきまでの精神状態が嘘のように、頭がすっきりしてきた。

そして私は大野くんに背中を向けて、そのままその部屋を立ち去った。

私はこんな恋愛を繰り返して来たのだ。

それが今独身である事を物語っているのだ。

誰かに自分をさらけ出すのが怖い。

いいえ、ただそれが出来ないと思い込んでいるだけなのかもしれない。

ああ…、どうして何かの瞬間に気持ちが醒めてしまうのか。

相手を傷つける小心者…、いや卑怯なだけかもしれない。

私はどうしてこんな人間になってしまったのだろう。









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