女40歳、お嫁にもらってもらいます!
私はその事に捕らわれて、走り続けた。

新幹線に乗ろうと慌てて走った時とは違う。

今度は苦しくても足が動かない様に感じても、気持ちが止まらない。

私は一度だけ連れていかれた晃太朗のアパートを必死に探していた。

確か、確かこの辺…。

「あっ…。」

そこにはどこかへ出掛ける様子の晃太朗の姿。

「こ…。」

そう名前を呼び掛けて、私は口を閉ざす。

晃太朗の後ろに、彼と年相応の女性が居たからだ。

思わず私は後退りした。

ここならきっと晃太朗の方からは、こちらの様子に気が付かないはず。

「晃太朗さん、すいません、こんなに遅くにお邪魔してしまって。」

何やら女性が親し気に晃太朗に話しかけている。

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