このお見合い、謹んでお断り申し上げます~旦那様はエリート御曹司~

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「はぁ〜、極楽…」


ーー想像以上に広い大浴場。早めの入浴だからか他の宿泊客の姿は見えず、ほぼ貸し切り状態だ。

辺りには、硫黄の匂いが強い風呂やコラーゲンたっぷりのローズ風呂、絶景露天風呂など、バラエティに富んだお風呂がいっぱいあるらしい。歴史ある効能の立て札があらゆる所に設置してあり、岩がゴツゴツしている温泉に自然を感じる。少し熱めな源泉に浸かると、今までの疲れが一気にほぐれた。


(…律さんとゆっくり入れたらな。…いや。二人だったら緊張しちゃってこんなにのびのび出来ないかも…)


男湯にいるであろう彼のことをちらちら考えながらじっくり温泉を堪能した私。やがて、湯から上がった後、部屋から持ってきた浴衣に袖を通し薄く化粧を整える。髪をお団子に纏めてうなじが見えるように襟を抜いたのは、色気のない私のせめてものアピールである。

…効果があるかどうかは別の話だが。


ーートントン。


部屋に戻ると、すでに襖から光が漏れていた。軽く戸を叩くと、足音と共にゆっくり開く。


「…お。思ったよりも早いな。おかえり。」

「!」


私を迎え入れた律さんは、湯上がりに私とお揃いの簡易な浴衣を纏っていた。どうやら、彼も部屋に戻ってきたばかりらしい。

軽く髪が濡れていていつもより色っぽい。紺色の浴衣の襟から覗く綺麗な鎖骨に目が釘付けになる。


(…カッコいい…。もしも写真集が出たら絶対買う…!)

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