人生の続きを聖女として始めます
「あ、そうだ、顧問が呼んでたよ。総体のメンバーについて相談したいって……」

考え込む私の前で、思い出したように亜果利が言った。

「あ、ああ、うん」

そういえば、アーチェリー部の新しい部長になったんだっけ?
責任感のまるでない部長の私と、責任感だけの副部長の亜果利。
立場が反対のような気がするけど、対外的な仕事が多い部長よりも、部員全てに心を配れる副部長の方が亜果利には向いていると、顧問に判断されたのだ。

「面倒くさいなぁ……まぁ仕方ない……」

「ふふっ、頑張って!部長!」

背中をポンと押され、私は弓をしまい練習場を後にした。


屋外練習場から教官、職員棟に行くには、聖フィオーナ大聖堂を必ず通過する。
この大聖堂は、保護者の寄付により建てられたものだ。
金持ちのお嬢様ばかりが通う高校であるため、寄付も高額で、あらゆる設備が新しく快適に過ごせるように出来ている。
大聖堂は地域のシンボル的なものでもあり、生徒もこの美しい大聖堂に誇りを持っていた。

硝子張りにされた渡り廊下を進み、大聖堂の裏口へ入り、そのまま直進すると教官、職員棟に出る。
途中、大聖堂本館へ入る観音開きの大きな扉があって、ここから、ミサ時にシスター達が出入りをしたりする。
私は、足早にその扉を通りすぎようとしたが、その時、何故か大聖堂の鐘がいつもより大きく鳴り響いた。
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