人生の続きを聖女として始めます
リブラは自分が着ているのと同じ色の神官衣を私に持ってきた。
神官にもランクがあるのか、リブラとヴィスの衣は少し色が違った。
ヴィスのは濃いグレーで、リブラはクリーム色。
クリーム色は汚れやすくて嫌なんだけど、そこまでワガママは言えない。
それにたぶん聖女だということで、大神官と同じにしたんだろうしね。

私は聖女の衣装とローブを持ち、自分の部屋に帰ると、早速着替えてみた。
やっぱり、スカスカする。
特に胸の辺りが……。
一体どこの聖女に合わせて採寸したのよ、これ。
あきらめて鏡台の前で見てみると、浮かび上がった映像が、真っ白い亡霊のようで思わずひっ!と小さく叫んでしまった。

そして、更にその後ろに見えたものに今度は本気の悲鳴を上げた。

「ぎゃーーー!!戦士の亡霊がーー!!鉄仮面がーーー!」

鉄仮面??
自分の叫びに、我に返って振り向くとそこにはエスコルピオがいた。

「エ、エスコルピオ……?」

部屋の隅に亡霊のように立ち竦む彼は、私の悲鳴などお構い無しに、一歩一歩近付いてくる。
そして……何故か一歩ごとに殺気が増す。
出会った時から殺気だっていたエスコルピオは、その殺気を私に向けてはいなかった。
だけど、今……殺気は間違いなく私に向いている。

「エスコルピオ!!え?ちょっと……冗談でしょ?」
< 45 / 238 >

この作品をシェア

pagetop