嫁入り契約~御曹司は新妻を独占したい~
襲いかかってくる心地よさを振り払うように語気を強めると、私の体を反転させた薫さんは不服そうな表情を作る。


「なぜ? 今日は日曜だから会社休みだろ?」
「はい……っていうか、私退職したので」
「あ、そうか。これからは毎日、一華の手料理が食べれるんだな。一華が待っててくれると思うとマンションに帰るのが楽しみになるよ」


朝から心臓を鷲掴みにされ、頬が一気に赤くなる。

すっかりコロッといきそうになった私だったけど、向かい合ってキスを交わす一歩手前でハッとする。


「は、母が心配してるので……! 昨日いきなり出て来ちゃって、なんの連絡もしてないですし」


風太にもちゃんと話さないといけない。

そう思って、依然キスの角度のままでいる薫さんの肩を押し返した。
すると、真顔になった薫さんは、姿勢をただして座り直す。


「俺も一緒に実家に行くよ」
「へ?」
「今回のことで一華のご家族に心配をかけてしまったことをお詫びしたいし、それに、」


東の空からの朝の新しい光が射し込む。薫さんは首を曲げ、無邪気に頬を綻ばた。


「その足で、役所に行って届けを出そう。早く一華と家族になりたいんだ」


矢印のついた帯のように何本も伸びてくる陽光は、光のシャワーのようにキラキラと惜しみなく私たちを照らす。

まるで遠回りしたしたふたりを、祝福してくれてるみたいだった。


「はい……!」


私は大きく頷いた。もう心に迷いなど一抹もなかった。

薫さんと一緒なら、必ず幸せになれると信じている。
これからふたりのロマンチックな結婚生活が始まるのだから。


end
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