嫁入り契約~御曹司は新妻を独占したい~
「あ、あの、薫さん……⁉︎」


驚いて素っ頓狂な声を上げる私の耳元に唇を寄せ、小声で囁いた。


「あっちから兄が見てるから、いい?」


答えるいとまなどなく、キョトンと両目を見開いたまま唇を奪われる。
角度を変え、吐息が口端から漏れる熱いキス。


「ん、っん……」


柔らかい唇の感触が、私の理性を奪おうとする。
ここはご実家で、お兄様が見ていて、私は契約妻なのに。あまりにも心地よくて、薫さんの舌の動きに陶酔そういうになってしまい、気持ちのストッパーが外れそうだ。


「……可愛い」


唇を離した瞬間、涙目になっているのが自分でもわかった。


「さ、この体勢はマズいから……。立てる?」


薫さんは私の体を両手でひょいと持ち上げると、椅子の脇に立たせた。


「帰ろうか。長瀬を呼ぼう」


恥ずかしくて顔を合わせられない。

私は自分のと同じ匂いがする、薫さんが着てるシャツを名残惜しく見つめた。






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