篠田くんの取扱説明書
そのまま教室に入ってきて、私の方に近付いてくる先輩。
秋穂は頰に手をやりながら、じっと先輩を見つめていた。
「桃奈ちゃん、さっきぶり」
「な、なんの用でしょうか…」
先輩に釘付けになっているのは秋穂だけではなく、クラス全員が先輩に視線を向けている。
「仁はどこいった?」
「……さぁ…。
授業終わったらすぐに出て行きました」
「そう。
百華のとこでも行ったか」
はぁ、と頭を抱える先輩。
…なにか、悩み事?
「なんか、困ることでもあるんですか?」
「え?
あーいや。そうじゃないけど…。
俺、百華のこと苦手だからさ。
仁が百華にご執心なのには、ちょっと不満でね」