篠田くんの取扱説明書



本当は眼鏡も外そうかと思ったけど、



私に合うコンタクトなんて持ってなかったから、眼鏡はいつも通りかけてる。



すごいな先輩、髪下ろしてるのに後ろ姿で気付くなんて。



……私そんなに立ち方とか変なのかな?




「なんで髪おろしてるの?」



「え…、と」




朝、時間がなかったから…とか、言えば…




「それ、仁が好きそう」




先輩がニッと意地悪っぽく笑って言った言葉に、私の心臓はドキッと音をたてた。




「いや、別に!そういうわけじゃ…!
篠田くんに言われたからとか、断じて、そんなわけでは…!」



「あー、仁に言われたのー」




ふふ、と楽しそうに笑う先輩。



いや、本当に…自分でもわからない。





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