篠田くんの取扱説明書
眼鏡をくいっと持ち上げると、
篠田くんの手が伸びてきて、
おろしていた髪をすくった。
「アンタさ、
自分のこと下に見すぎ」
「……え…」
「地味な私とか言うなよ。
……今日髪おろしてきたのは、ちょっとでも地味じゃなくなるためじゃねーの?」
「……そう、だけど、
でも、篠田くんも言ったよ、
地味すぎて気配に気付かなかった、って」
篠田くんと蜂谷くんのせいでもあるんだけどな。
「……それは…悪い。
地味っていうことしか、理由が見つかんなかったから」
「理由?」
「昨日言っただろ。
アンタは、他のヤツとなんか違うんだよ」
そういえば、助けたりするの初めてだって言ってた…。
それは、私が変ってこと?