アナタと、キスと、銃声と。

その名前を聞いて、翔平ちゃんの顔が変わった。


組員の人たちの間を縫って家へ入っていく。


わたしもそれに続くようにして家に入る。


翔平ちゃんは客間の障子を開けて。






「…美華」


「翔平!!」






客間から勢いよく飛び出した美華と呼ばれた人は翔平ちゃんに抱きつく。


わたしはそれを少し離れた廊下から見ていた。


わたしより少し身長が高いくらいの彼女は、満面の笑みで翔平ちゃんを見上げる。


短いボブの髪の毛は茶色に染められていて、クリクリとした大きな目、白い肌、小さな鼻、ぷっくりした唇。


同性のわたしから見ても可愛く映る。






「どうしてここに…」


「約束、果たしに貰いに来たんだよー!」


「約束?」


「結婚の!」






結婚…………?


じゃあこの人は…。


翔平ちゃんの婚約者…?


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