アナタと、キスと、銃声と。

「一緒に着ていただけますか」


「なんであんたなんかに」


「大人しく着いてきてください」


「だからなんでって聞いてるの」






私に向いていた銃口が天を仰ぐ。


─────────…バンッ!!!!!!


凄まじい音と共に、体が驚く。


天井に向かっていた銃口は再び、わたしの方へ。






「ここをどこの家だと思ってんだ!!」


「亮くん!やめなさい!!」






今にも引き金を引きそうな亮くんに言う。






「悪いけど、大人しくついて行くほどわたしあほじゃないから」


「でしたら力づくにでも」


「どうしてわたしを連れて行くの」


「ご命令ですので」


「理由を聞いてるの」


「復讐です」


「復讐……?」






この世界ではよくある話。


復讐のために、人を傷つけることもいとわない。






「だったら今ここで殺せば」


「連れてこい、とのことですので」


「わたしはここを出ていかない。それにここにはわたしだけじゃ」






そこまで言って男の視線がわたしから右側に流れたのを見逃さなかった。


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