アナタと、キスと、銃声と。
「…どうした」
いつになく緊張した組長の声。
だんだんと顔が曇っていくのがわかった。
「わかった、こっちで何とかする。車回すからお前は病院にいけ」
そう言って、電話を切って椅子から立ち上がる。
「組長」
「…奇襲にあった、2人死亡、負傷者多数。亮が拳銃で足を撃たれた」
「…お嬢は」
重たい口を開く。
1度目を閉じて……開いた組長は怒りを通り越した目をしていた。
「連れ去られた」
「相手は」
そう聞くと口をつぐんだ。
なぜ言わないんだ。
「組長…お嬢が危険です」
「…」
「組長!」
「…神崎組の、生き残りだ」
頭を鈍器で殴られたような。
そんな感じがした。
神崎組の生き残り。
神崎、組。
「翔平、お前は」
「俺が行きます」