真 実
本当は・・・怖い
椿の瞳に俺が映らなかったら・・と
・・足がすくむ・・・
だが・・
一歩ずつ・・一歩ずつ・・
足を進めて
椿のいる部屋へと入る。
下を向いていた椿が顔をあげて
俺と目が合う・・・
「・・・つ・・ば・・きっ・・」
俺が、名前を呼ぶと
椿の肩がピクリとなり・・
お互いに目をそらせずにいた・・・・
‥‥‥‥‥すると‥‥‥
椿の瞳から涙が溢れだし・・・
椿は、ベッドから降り
俺の方に手を差し出してきた・・
俺は、椿の手をつかみ
引き寄せ・・椿を自分の中に
抱きいれて抱き締めた
「・・・は・・る・・きっ・・」
俺の耳にはっきりと聞こえた
「つばきっ・・椿っ・・愛してる・・」
「・・愛してる・・春樹っ・・」
俺と椿が、抱きあっている間に
警官と才賀医師達は、
部屋から外にでていた。
俺は、椿の顎をあげて
椿を見つめながら
唇にキスをした。
「ああっ、俺の椿だ。」
と、言いながら
顔中にキスをしてから
一旦、椿をベッドに座らせ
「椿、少しここにいて
警察の人と話してくるから。」
「うん、わかった。」
春樹は、椿のいる部屋のドアを開けたまま
ドアの向こうにいる警察関係者に
頭を下げながら
「ありがとうございます。
妻の椿です。
今から、少ししたら
家に連れて帰ります。
捜査には、協力いたしますので
連絡を下さい。」
と、伝えた。
椿と一緒にいた男が
「あの女、記憶は戻っていたんだな?
俺をだましやがって。
あんたもぐるだったのか?」
と、才賀医師に言う
「いや、彼女の記憶は
戻っておらん。たぶん今も。
だが、わかるんじゃよ。
自分の命より大切なものは。
彼女の心がふるえたんじゃよ。」
と、言った。
「才賀先生ですね?
桜小路です。
本当にありがとうございました。
妻が、お世話になりました。」
と、頭を下げると
「いや、いや、わしは何にも
しとらんよ。」
と、言ってくれた。
俺達の会話を聞きながら
男は、怒鳴りながら
騒いでいたが
警察官に怒られながら連れて行かれた。
俺は、直ぐに隼人に連絡をした。