番外編 溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
6話「メール」





   6話「メール」






   ★★★



 「先輩待ってください!」
 「…………」


 後から駆けてくる男の声が聞こえた。
 椋はハーッとため息をついた。

 椋は警察の青い正装に身に付けていた。
 久しぶりのきっちりとした制服、装備品が吊り下げられている帯革(たいかく)はずっしりと重く感じられた。
 けれど、しばらく着るとすっかり慣れてしまうから不思議だ。
 仕事も新しい事や人を覚えるのに始めは必死だったけれど、1度経験したことは体で覚えているものだと改めて感じていた。1ヶ月が経つ頃には、昔と同じように働けているのではないかと椋は思えた。


 しかし、慣れないものがある。
 それが後ろから付いてくる男だった。
 椋は、くるりと後ろを向いてその男を睨み付ける。


 「おまえな………先輩って呼ぶのやめろ。俺は1回辞めてるんだから先輩じゃないだろ?」
 「そんな事ないです!俺は、歳も経験も鑑先輩より下です!」
 「………まぁ、そうなんだけど………」



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