番外編 溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を




 そして、ボディーガードを仕事にしたのには、いろいろ理由があったと聞いた。
 まずは、警察官だった時と同じように、勘や動きを鋭いままにしたかったという事だった。毎日緊張感に包まれている警察の仕事と同じようにしなければ。すぐに感覚が鈍り、檜山を捕まえる事は出来ないと思ったようだった。
 そして、もう1つは情報収集だった。要人や有名人、そして役員が集まる場所になると、重要な話題も耳にする事が多い。
 もちろん、麻薬などの話も出ることもあるだろうと考えたのだ。

 会社にしてからは、自分に依頼が入らなければ時間は自由に使えるようになり、椋は檜山について調べる事ができるようになっていたのだ。


 そして、その会社を人に譲るとなるとやはり大変だったようだ。椋が居るからと仕事を依頼する客も多かったようで、残されて社員であるボディーガードは不安になっていたそうだった。それでも、椋は客達に挨拶をしてまわり、何とか顧客を固定させたまま、自分の会社社長を辞任したのだ。

 そのため、椋はとても忙しく夜遅くまで帰宅しないこともあった。

 そして、花霞も多忙な時期を過ごしていた。
 親友であり上司でもある花屋の店主の栞が、SNSで花霞のブーケを載せてところ、あるモデルがそれを気に入り、自分の結婚式場の花を考えて欲しいと依頼されたのだ。
 今まで経験もしないことがないような大きな仕事に戸惑っていたけれど、栞や他のスタッフの力を借りて、挑戦してみることにした。
 想像以上に大変で、何度も挫けそうになったけれど、花霞の大好きな花の仕事、そして楽しみにしてくれる人がいる事、そして椋のサポートがあって、無事に仕事を終わらせる事が出来た。
 依頼してくれたモデルさんの結婚式に少しだけ顔を出したけれど、とても喜んでくれたのを見て、花霞は感激して泣いてしまったぐらいだった。



< 9 / 152 >

この作品をシェア

pagetop