若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
眩しさに目を瞬いたそこは、広いリビング。
中央には見るからに高級そうな大きなラグが敷いてあり、その上にはもふもふしたL字型のソファー。大きくてツヤツヤの観葉植物の向こう側にはピカピカのキッチン。
雑誌の中で紹介されているように、素敵な部屋だ。

『好みがわからないから、とりあえず寛げる優しい空間にって頼んでおいたんだ』
電話口で彼がそう言ったとおり、優しい雰囲気が漂っている。

ベージュを基調とした色合いは心を安らげてくれるし、柔らかそうなソファーは、立ち上がれなくなるような怠惰な誘惑を駆り立てるだろう。

開放感のある大きな窓を開けて、外に出た。

意外なほど静かだった。

『夜景が綺麗な高層階と、階段でも辛くない低層階。住むとしたらどっちがいい?』
夕翔にそう聞かれた向葵は、素敵な夜景は捨てがたいけれど、住むなら三階くらいがいいですと答えた。そのとおり、部屋は三階である。
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