若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
***

午前中の涼しいうちに買い物は済ませた。
簡単に昼食を済ませ、ちょっと勉強をして、あとは掃除。

なにしろ広い部屋だ。
向葵が住んでいるアパートの玄関からベランダまでが、このマンションの寝室にスッポリと収まってしまうだろう。リビングダイニングはその倍はある広さなので、真剣に掃除をしようと思うときりがない。
それでも、このピカピカの状態を保つことが自分の使命のように、向葵は掃除に燃えていた。

バックミュージックは流行りの洋楽。
特に洋楽が好きなわけではないけれど、これも英語に慣れるための勉強だ。聞き取れないなりに歌詞の意味を考えつつ、せっせと冷蔵庫を磨いていると、ふいにピコピコとスマートホンが可愛い音を立てた。

ハッと振り返った向葵の胸は、それだけでキュンと弾ける。

スマートホンがこの音を鳴らすのは、ひとりだけ。
夕翔しかいない。
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