若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
帰り道、夏梨が言った。
「いいよね、趣味で店なんて余裕ある人生だなぁ。店長もあれで結構一流ホテルとかあちこちで修業積んだみたいだから言えるんだろうけどさ」

「そうなの?」
「うん、板前のゲンさんが言ってたよ」

「へえー、ちゃんと苦労もしているんだ。でも確かに店長の接客めっちゃ感じいいもんね」

そんな話をしていると、前から歩いて来るサラリーマンが、すれ違いざまにふたりをジーっと見る。
酔っているのだろう、目つきがいやらしい。
視線の隅で彼らが振り返ってまで見ているのがわかる。

向葵も夏梨も、ツンと無視して歩いていく。

「スーツ着てるビジネスマンって、酔うと途端にキモいよね」
「あ、わかるー。そうなんだよ。私もなんかキライ! ビシッとしている時は大人だなって思うんだけどね」

「でもさ、今日のあの素敵なお客さんは、あんな醜態見せないよね、きっと」
「うん。まぁそうだね。あの人は違う。店でお酒飲んでも顔色ひとつ変えないし、清潔感があるし、ギラギラしてないし」

「そして何よりイケメンだ」

夏梨の最後の一言を合図に、ふたりはアハハと笑いはじめた。

「イケメンってさ、そういうところも含めて、イケメンなんだよね」

「うんうん。そーゆーこと」
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