若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)

「いえいえ、ちょっと散歩でもしようかと思ったんです。お掃除、手伝いますね」

「ありがとう。でも、ちょうど終わったところなんだよ。家に上がってお茶でも飲まないかい? 実はね、話したいことがあるんだよ」

「あ、はい。ではお言葉に甘えて」

失礼しますと上がった部屋には大家のご主人がいて、なにやら片づけをしているところだった。
「ああ、いらっしゃい」

「断捨離ですか?」

お茶とお菓子を出してくれた大家さんの奥さんは、「それがね」と話を切り出した。

「向葵ちゃん。急で悪いんだけど、近々ふたりでホームに入ろうと思ってね」
「えっ?」

「荷物の整理も大変で、元気なうちじゃないとね。でも安心しておくれ、ここは大丈夫だよ。ちゃんとした人が引き受けてくれることになってね、条件も変わらないから」

「そうなんですか。それは助かりますけど、でも、寂しいです……」
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