若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
聞けば新しい大家は大層な資産家なのだという。
学生に奨学金を支援する財団の理事でもあるのだと。

「そういう人だから、心配ないだろうし」

――財団?

なんとなく気になった。
まさかとは思いながら、ざわざわと胸が騒ぐ。

「その財団って、何ていう……。あの、その方ってお名前は?」

「月井って言っていたね」

――えっ?

「その人が話をしに来たんですか?」

大家さんは手を伸ばして、引き出しから名刺を取り出した。

「来たのはこの人だ。梅川さんって言ったかな」

それは向葵が知っている月井家の執事、梅川の名刺だった。


茫然としながら大家さんの部屋を出て、向葵は自分の部屋に戻った。

散歩どころではない。
テーブルに手をつくと、その場にへたり込んだ。

――このアパートを夕翔さんが買った?
どうして?

スマートホンを見つめながら、どういう意味なんだろうと考えた。
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