若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
「落ち着いていられませんよっ! で? どうなんですか?」

どうしてと聞かれて、一昨日の、幼馴染の登場のことが矢神の脳裏をよぎった。
『あれはなんだ?』と眉をひそめた彼。でもあの時、カフェには入ったが、声をかけるでなく、彼はなにもしなかったし、なにも言わなかった。

彼からすれば、一介の男子学生など、ライバルと言える存在にすらならないのかもしれない。

「何があったのかは、わかりません。ただ、彼は向葵さんのアパートを買い取ったそうです」

「えっ? 買い取った?」

「ええ、オーナーは面倒見のいい老夫婦で一階に住んでいたのですが、最近体力の衰えを感じていたそうで。月井家の執事が手続きを進めているそうです」

「なんだかすごいですね。それっていつのことですか?」

「正式な契約は昨日」
「へ? 昨日?」

「先方に話がいったのは多分、一昨日だと思いますが」

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