若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
月井夕翔の妻として苦手な場所にも行かなければならないし、人も言葉も礼儀作法も覚えなければいけないことは沢山あるだろう。ただの女子大生ではいられなくなる。

全力で支えるつもりでいるが、二十四時間一緒にいられるわけじゃない。時にはひとりで耐えなければいけないこともあるかもしれない。
それでも、彼女には耐えてもらわなければ。


つらつらとそんなことを思ううち、正門から出てくる学生が増えてくた。

夕翔は車から降りて外に立った。

長い五分が過ぎた頃、向葵が見えた。

友人と楽しげに歩いてきた彼女は、夕翔の姿を見つけると目を丸くして足を止めた。

そして何かを友人に告げ、走ってくる。

満面の笑みを浮かべて走る彼女を受け止めようと、両手を広げたら、向葵は少しジャンプして抱きついた。

「連絡くれないから、怒っちゃったかと思ったぁ」
向葵は突然泣き出した。

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