若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
***

わくわくドキドキの日曜日。

見上げたビルはそれほど高い建物ではないが、真っすぐ上に伸びるだけではなく、幾何学的な形をしたフレームに覆われている、やたらと個性的な建築物だ。
きっと有名な建築家の手によるものなのだろう。

そんなことを思いながら圧倒されたように、向葵はポカンと口を開けた。

――なんかすごい。

服装は大丈夫だろうか?
急に不安になってビルのガラスを振り返り、そこに映る自分の姿を見た。

白いブラウスに紺のパンツ。いつもアルバイトの面接に行く時の勝負服である。真面目を絵に描いたような恰好だから、これで審査を落とされることはないと信じたい。

念じるようにそう思いながら、緊張してビルに足を踏み入れた。

受付カウンターには女性がいる。

「花森と言います。羽原さんと約束があるのですが」

話は受付にも通っていたらしい。
にっこりと花のように微笑んだ女性は、立ち上がって左手を前に差し出した。

「承っております。どうぞこちらへ」
< 30 / 314 >

この作品をシェア

pagetop