愛さずにはいられない
いつも仕事の忙しい仁。
奈央と仁がそろって夕食を食べることができるのは一緒の休日の月曜日だけだった。今日は日曜日。夕飯は外食することの多い仁の食事は用意していない。奈央は電話を切ってから再び化粧品を見ることに夢中になっていた。


「奈央」
少しして仁が奈央を呼んだ。
「あれ?私電話気づかなかった?」
奈央がカバンから携帯を出そうとすると
「電話しなくても奈央がどこ見ているかくらいすぐわかる。」
仁がそう言って奈央の頭を撫でた。
奈央が照れて周りを見ると、店員がフロアに入ってきた仁を見てひそひそと話しをしていた。
長身の仁は女性の化粧品売り場に立っているだけで目立つ。まして、化粧品の販売員も仁を知っているようだった。
「なにかいいのあった?」
「秋の特集号なんだけど、私もメイクページを任されるの。その時の秋のメイクなんだけど、このい色味ってどう思う?」
奈央が自分の手の甲にアイシャドウを塗る。
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