愛さずにはいられない
いくつかの化粧品を選び奈央が会計に向かうと、すっと仁がカードを出した。
「え?いいよ。私の仕事道具だし。」
「いいの。これで今度うちのヘアカタログのメイク担当してよ。」
「でも・・・」
奈央が遠慮していると仁が奈央の頭をポンと撫でた。
「男の俺をたてて、ここは払わせてくれないと。」
「その言い方・・・」
「なんてな。嘘だよ。甘えなさい。」
「・・・ありがとう。」
店員がそんな二人のやり取りを見て微笑んでいた。
カードを財布にしまう仁。その左手の薬指に自分と同じ指輪が光っていることが奈央はくすぐったかった。仁は結婚指輪を外さないタイプらしく、仕事中も撮影中もしてくれていた。奈央も同じように結婚指輪を肌身離さず身に着けていた。

時々指に輝く指輪に目が惹かれる。

あー私結婚したのだと奈央は実感できる瞬間だった。
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