愛さずにはいられない
「一緒にこれからいろんなところに行ってさ、その時にはこのカメラでその思い出を撮ってくれないか?」
「こんなに高いの・・・いいの・・・?」
「もちろん。誕生日、おめでとう。」
「・・・ありがとう・・・写真上手に撮れるようにいっぱい練習するね。」
奈央の言葉に仁は満足そうに頷いた。
「本当の誕生日の日はさ結婚式でいっぱい人がいて、落ち着かなかったから。こうしてゆっくり二人で祝いたかったんだ。」
「初めてだね。」
「あぁ」
何かの記念日を二人で祝うのははじめてだ。
いつもお互いの両親や、昔はここに絃がいた。

仁と奈央、二人で祝う初めての記念日は奈央の誕生日だった。
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