愛さずにはいられない
それだけ絃の存在は二人にとって大きくて・・・今も大きくて・・・思い出すだけで胸が痛む。

仁は奈央の手をそっと握った。
奈央は仁に微笑み返す。

悲しみを隠しきれていない瞳で仁を見つめながら。



仁は奈央の大きな悲しみごと包み込む、守り支え愛することをちゃんと守ってくれている。
それなのにいつまでもそこから抜け出せないのは自分だと奈央は思っていた。

「奈央」
「ん?」
「楽しもうな。旅行。」
「うん!」
仁が空気を変えようと明るく話しかける。
奈央は仁に笑顔で頷いた後、窓の外の景色を見た。
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