愛さずにはいられない
奈央が助手席に乗ると仁は運転席に回り奈央に一冊の本を渡す。
「次の休みはここに行こう」
奈央が仁から渡された本の付箋がついているページを開く。
「水族館?」
「そう。で、次のページの海鮮丼食べて帰ってくる。」
仁は月曜が仕事の休みの日だ。奈央の仕事も、月曜が休みの企業が多いため休み。
二人は毎週月曜になるとデートするようになっていた。
「海鮮丼?」
「そう。あ、ちゃんと食べられる海鮮が限られてる奈央が好きな、いくらだけの丼ぶりもあるって」
「連絡してくれたの?」
「もちろん」
仁はなかなかプランを決めることが苦手な奈央をいつもリードしてくれる。
仁が選択するのは奈央のことをよく考えてくれている内容で、奈央は心地よささえ感じていた。
それに、仁は前もって下調べをしっかりとしてくれる。


奈央は仁のエスコートに心地よさを感じながら、いつの間にか毎週月曜が楽しみになっていた。
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