愛さずにはいられない
「仁が照れるなんて貴重だな。」
大悟はそう言って大悟の頭を再び撫でた。
「急な結婚式なのに、本当にうれしいです。ありがとうございます。」
奈央が頭を下げると大悟が首を横に振った。
「初々しいね。」
そう言って莉子が大悟に微笑みかける。見つめ合う二人から二人の絆の強さを感じる気がした。
「俺たちには遠い昔だな。」
「ね。」
「そんなことないでしょう。大悟さんと莉子さんがラブラブだって、高橋くんからよく聞きますよ?」
高橋とは莉子がさっき自分の接客していた客を任せてきたスタイリストのことだ。
仁の言葉に店の奥にいた高橋が動揺してヘアクリップをおとす。
大悟と莉子が高橋の方を見た。
「高橋、お前密告してんな?いろいろと。」
「そんなことないっすよ!」
必死な様子の高橋に奈央は思わず笑った。
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