愛さずにはいられない

奈央の表情が一瞬くもったのを仁は見逃さなかった。
「まっ、人生これからまだまだ長いからな。一緒の時間の中でひとつひとつ知っていけたら俺はうれしいよ。結婚式の準備の時もさ、改めて奈央の好みが知ることできてうれしいんだ。」
仁がすぐにフォローする。
奈央は仁が自分の気持ちを察して話してくれていることに気が付いている。

「奈央、実は今日指輪が完成したって連絡来てるんだ。一緒に取りに行くか？」
「うん！行きたい。」
奈央は精一杯明るく仁に言った。

あと何回、自分は仁に気を使わせてしまうのだろうか・・・


二人で選んだ結婚指輪。
仁はすぐに”結婚式の予行練習な”と奈央の薬指に指輪をはめた。
その輝きに自分たちの未来は明るいのだと言い聞かせる仁。奈央の未来を輝くものにする覚悟を決めていた。

奈央は輝く指輪と優しく自分を見つめる仁の姿に、仁を幸せにしたいという気持ちが募った。