愛さずにはいられない
どんなに疲れて立ち止まりたくなっても。
どんなに苦しくて心が痛んでも。

それでも前に進むしかなかった。


「絃・・・俺も絃を忘れた日なんてないんだ・・・。なんでお前を神様は選んだんだって、今だってその選択に納得してない・・・。」


仁は目を赤くしながら必死にこらえて微笑んだ。



「絃。俺は今もお前が大切だ。唯一無二の弟だ。かけがえのない弟だよ。でもさ・・・。お前が俺を見て安心できたらさ・・・奈央だけでも解放してやってくれないか・・・?絃を失った悲しみからさ・・・解放してほしい・・・。頼むよ・・・絃・・・。」

仁は冷たい墓石を見つめながらそう言った。
< 86 / 297 >

この作品をシェア

pagetop