クローバー
いつも通りにラジオのONAIR。

メッセージ、

”二週間前、私は母になりました。赤ちゃんがかわいくてかわいくて仕方がありません。”

「ですねぇ。赤ちゃんはかわいいものです。つくづく女の人は強いなぁと思います。えらいはずなのに産まれた瞬間微笑んで、ばかな男に、抱いてあげてなんて言う。」

一息ついて、

「…前、私の記事が報道されて、リスナーの人からどうですか?とメッセージがあったり、悲しい事に、ホームページなどで彼女が中傷されたりされました。彼女のお腹には赤ちゃんがいた。…まず、言えることだけ、おととい、パパになりました。小さくて、かわいい息子と出会えて、手をぴくぴくしながら眠る息子を見て幸せ。彼女は笑顔が素敵な女性。彼女は産後で、ただでさえ中傷で心を痛めているのに、真実を話したら、体調に変化があったらいけない。ですから、必ず話します、それまでは待っていて下さい、」

「…過去の事から、臆病で、女の人を拒んだ私を救ってくれたのが彼女でした。私にとって彼女しかいない。彼女は私を優しく迎えてくれる。大切だ。ここで負担をかけるのは避けたい。だから決断した。安定するまで待って下さい。」


茉衣は退院する。
赤ちゃんも帰って来て、茉莉は茉衣のお乳を吸っているをまじまじ眺める。
そんな茉莉に茉衣は、

「不思議?ふふふ、茉莉も吸ってたのよ。ほら、ご満悦そうでしょ?」

茉衣は赤ちゃんをさすりさすりする。

”げぶっ。”

茉莉は笑って、

「ゲップした。」
「ゲップしないとダメなのよ。」

茉莉は、赤ちゃんをなでなでする。すると赤ちゃんはすやすや眠る。
ベッドに寝かせる。

「茉莉、ハルカはどう?」
「かわいい☆」
「茉莉かわいい☆」

ぎゅっ。

「ママ…。


「まだいま。」

遥紀が帰って来る。

「ごめん、会議が長くて…。」

茉莉は遥紀に抱き着く。

「茉莉、ただいま。」
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