バッドジンクス×シュガーラバー
「え……久浦部長が?」

「あ、言ってなかったっけ? 私が今日ここに来たの、もともとは久浦部長のおつかいなの。私も憂依ちゃんどうしてるか気になってたしね~」



あっけらかんと答えたえみりさんの目の前で、ひそかに私の心臓は早鐘を打っていた。

私の様子を気にして……久浦部長が、えみりさんをここに送り出してくれたんだ。

じわりと、頬が熱を持つ。

そんな私の様子に気づいて、えみりさんがにやあといやらしい笑みを浮かべた。



「おやおや……小糸さん、ツヤツヤほっぺが赤くなっていますわよ?」

「つっ、き、気のせいですよ」

「へーえ? ま、なんでもいいけど、これだけは言っとく。私は全力で応援するからね!」

「えみりさん……!?」



なんだかあらぬ誤解をされているのがわかったから、つい慌てた声を上げる。



「あっはっは。じゃあ、いい加減私はお暇するわ」

「う……はい、お気をつけて。牧野さんによろしくお伝えください」

「ありがと~」



最初から最後まで上機嫌だったえみりさんは、そのまま今度こそドアノブに手をかけた。

けれども開いたドアの向こうに消える間際、思い出したように肩越しに振り返る。
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