バッドジンクス×シュガーラバー
広報室時代、私が社内向け広報誌で任せてもらっていた【スイーツ巡り旅】というコーナー。
私個人がおいしいと思ったスイーツを、ジャンル問わず雑多に紹介していただけの小さなコーナーだったんだけど……久浦部長みたいにヒット商品を生み出すようなすごい人も、見てくれてたんだ。
正直言うと、植田本部長がこのコーナーをキッカケに私をデイリーフーズ部に引き抜いてくれたときは、『どうして私なんかが』と戸惑いばかりが大きかった。
けど今、久浦部長に自分がした仕事を肯定してもらえて……素直に、うれしいと思える。
それは、どうしてだろう。
もしかして部長が、普段オフィスであまり見ないやわらかな笑みを浮かべながら話してくれたからだろうか。
……久浦部長って、あんなふうにも、笑うひとなんだ。
「小糸、口の横にクリームついてるぞ」
「えっ」
ぼうっと意味なくスプーンで紅茶をかき混ぜていたら指摘され、反射的に自分の口もとを左手で押さえる。
は、恥ずかしい……上司の前で、顔にクリームをつけながらケーキ食べてたなんて。
羞恥心を紛らわせるように、うつむきながらゴシゴシと口の横をこする。
すると部長が、視界の片隅で動く気配がした。
「そこじゃない。こっち」
テーブルの向こう側から伸びてきた手が、私の唇の右下に軽く触れる。
少しかさついた、大きな手。それが離れていく様子を、唖然として見つめた。
「小糸?」
手についたクリームを紙ナプキンで拭う久浦部長が、きょとんとした表情で私の名前を呼ぶ。
そして次にその整った顔を、なんだか気まずそうにしかめた。
私個人がおいしいと思ったスイーツを、ジャンル問わず雑多に紹介していただけの小さなコーナーだったんだけど……久浦部長みたいにヒット商品を生み出すようなすごい人も、見てくれてたんだ。
正直言うと、植田本部長がこのコーナーをキッカケに私をデイリーフーズ部に引き抜いてくれたときは、『どうして私なんかが』と戸惑いばかりが大きかった。
けど今、久浦部長に自分がした仕事を肯定してもらえて……素直に、うれしいと思える。
それは、どうしてだろう。
もしかして部長が、普段オフィスであまり見ないやわらかな笑みを浮かべながら話してくれたからだろうか。
……久浦部長って、あんなふうにも、笑うひとなんだ。
「小糸、口の横にクリームついてるぞ」
「えっ」
ぼうっと意味なくスプーンで紅茶をかき混ぜていたら指摘され、反射的に自分の口もとを左手で押さえる。
は、恥ずかしい……上司の前で、顔にクリームをつけながらケーキ食べてたなんて。
羞恥心を紛らわせるように、うつむきながらゴシゴシと口の横をこする。
すると部長が、視界の片隅で動く気配がした。
「そこじゃない。こっち」
テーブルの向こう側から伸びてきた手が、私の唇の右下に軽く触れる。
少しかさついた、大きな手。それが離れていく様子を、唖然として見つめた。
「小糸?」
手についたクリームを紙ナプキンで拭う久浦部長が、きょとんとした表情で私の名前を呼ぶ。
そして次にその整った顔を、なんだか気まずそうにしかめた。