バッドジンクス×シュガーラバー
私の言葉にうなずいたと同時に、久浦部長がピッと音をたててボタンのひとつを押した。

まさにそれは、私が言ったミルクティーのボタンで。ガコン、と商品が落ちる音がしたかと思うと、先ほどと同じように上半身を屈めた部長が見慣れたパッケージのボトルを取り出す。

こちらが何か言うより早く、目の前にきた久浦部長が私の頭の上にそのペットボトルを載せた。



「わ」

「当たりでもう1本出た。他の奴には内緒にしろよ」



イタズラっぽく言って笑ったかと思うと、部長が手を離したから慌ててミルクティーを押さえる。

両手で包んだそれを呆然と見つめ、引き寄せられるように同じ数字が4つ表示された自販機に目を向けた。

……たしかこのスロット付き自販機、全然当たりが出ないって評判だったような……?

次に久浦部長へと視線を向けたとき、すでに部長は私の横を通り過ぎてこの場を去ろうとしていた。



「あ……っあの、ごちそうさまです……っ!」



焦って声をかけたその背中が、立ち止まって振り向く。



「あさってのメニュー会議に向けて、いろいろ考えてるんだろ? 適度に息抜きしながら励めよ」

「っは、はい!」
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