俺様御曹司はウブな花嫁を逃がさない

こうして過ごすうちに陽がまた調子を取り戻してくれればいいのだが、しかし、三日経っても笑みを拝めるのはクライアントと接している時だけ。

食べ物もマッサージも失敗した紬花は、今度こそと陽の風呂上りを狙ってリラックス効果の高いラベンダーのアロマキャンドルに火を灯し、リビングに置いてみたのだが……。


「なんだ、この匂いは」

「リラックス効果のある香りです」

「リラックス? むしろ落ち着かない。こっちにしろ」


陽がカウンターの引き出しから手に取ったのは、希少だといわれるネロリのアロマキャンドル。

火をつける前から鼻をくすぐる香りは、柔らかくも凛とした上品なもので、紬花の肩から力が抜ける。


「わ、凄くいい匂い……」

「気に入ったのならやるから部屋で使え。俺はそろそろ寝る」

「ありがとうございます! おやすみなさい」

「おやすみ」


上機嫌でアロマキャンドルを手に紬花は、リビングから陽がいなくなったタイミングで我に返る。


「ハッ⁉ また負けた……」


癒すつもりが逆に癒されてまたもや失敗に終わった。

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