こいつらといる数年より あいつといた一瞬が 輝いているのはなぜだろう
…俺の気持ちに、気づいていたからよそよそしかったのか?
「そうだよなぁ…気持ち悪いよな…」
気づいたならそう言ってよかったのに。俺がお前から離れたのに。どうしてお前から離れてしまうんだ。どうして、
「先に逝っちゃうんだ…」
押し殺す嗚咽と共に冷たい涙が頬を伝う。
「好きだ、好きなんだ…大好きだったんだ、大切なんだ…!」
あいつに伝えられなかった気持ちを、今更言ったって何も変わらない。だけど、溢れてしまう気持ちはずるずると口から零れていく。
「好きなのに、どうして逝っちゃうんだ!お前のこと、全然知らないままで、死んじゃうなんてもう、どうしようもできないじゃないか…好きだって、伝えたかった…」
誰にも言えなくて、結局あいつにも言えなかった。後悔しかない。虚無感が広がる。
 目からは光がなくなるのに、空はいつだって明るくなる。
 もう、終わりだ。あいつとの五年間は長いようで短かった。実際隣にいたのは一年だけだったけど。あいつが引っ越さなければもっと長い時間そばにいられただろう。
 いや、もういいんだ。終わったことなんだ。
 靴を脱いだ。
 フェンスを乗り越えた先は、清々しいほどの青空だ。風をいっぱいに受けた後、俺の身体は空の色に染まる。

 俺の目にはあいつの最後の景色が映る。
 
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