『愛してる』
「……舞?」

 寝起きのかすれた声に私の思考は現実に戻り、お兄ちゃんに目を向ける。ぼんやりとした目を何度も瞬いて私を見ながら起きようとしている。

「あれ?いま何時だ?俺、いつの間に寝てたんだ?」
「まだ夜だよ。お兄ちゃんってば、帰って倒れたんだよ。覚えてない?」

 お兄ちゃんは考える素振りをみせて、思い出したのか声を上げる。

「ああ、そうだったな。確か舞を待っていたら急に──?」

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