基準値きみのキングダム
「そういや、杏奈の家行くの、結構久しぶり」
「たしかに、そうかも」
「最近ずっと文化祭準備でバタバタしてたしな。……で、終わったと思ったらもうすぐ模試なわけだけど」
模試、というなんとも現実を突きつけてくるワードに、うっとなる。
「杏奈は進路、決まってる?」
「一応……。学部は絞ってあって、あとは模試の結果を見て、選ぼうかなって。深見くんは?」
「俺もそんな感じ」
卒業まで、あと半年もない。
進学できるかもまだ決まっていないけれど、少なくとも、来年の私たちはクラスメイトでもなければ、高校生でもない。
一瞬、浮かんだ心細さを、打ち消すように深見くんは柔らかく笑った。
「ずっと、一緒にいたいよな」