売れ残りですが結婚してください
「まあ、極端なことを言えばそういうことだ」

すると黙って聞いていた母の冴子が口を開く。

「こんなこと昭和初期までならあったかもしれないけど今じゃ、考えられないわよね。富子おばあちゃんのいた時代だからこそなんだけど……でもそれじゃあ翠があまりにもかわいそうだなって思ったのよ。それでネットで探したのよ。顔だけでもわかれば安心でしょ?だけどないのよ」

期待させておいてのこの結果、翠の顔が引きつる。

「……そうなんだ」

だがやはり翠はどこか他人事の様だった。

すると父の忠明がフォローに入る。

「だけどほら、古川社長の顔を20歳以上若くした顔って考えたらいいじゃないか?」

中途半端なフォローに翠ではなく冴子の方が反応する。

「もう!お父さんの全然フォローになってないわよ」

2ラウンド目が始まると感じた翠は避難すべく立ち上がった。
「翠?」

「2人共、私は大丈夫よ。ただびっくりしただけだから……私着替えてくる」

翠は立ち上がるとバッグを持って2階へといってしまった。
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